復興特別所得税(源泉所得税)って?~報酬編~
The仕訳番外編 復興特別諸税②
産休・育休を取ることになったりさ子先輩の代わりに、はじめ君が本社の経理に復帰することになりました。子会社と本社の二社の経理をまかされることになったはじめ君。はたして大丈夫でしょうか?
預金利息 源泉所得税 復興特別 税制改正
Situation
はじめ君 :
本社の経理は一年ぶりですね。覚えているかな?
りさ子先輩:
たよりないこと言わないの。子会社の経理もがんばってるんだから、自信持ちなさい。
はじめ君 :いやー、それがなかなか。ところで、ぼくのいない間に変わったことってありますか?
りさ子先輩:そうね~。この一年は震災やヨーロッパの経済危機なんかで、社長も少し保守的になっていたから、そんなに変わってないわね。でも、幸いうちのショップはワイン通のお客様に支えられているせいか、順調に売上を伸ばしているから、社長もそろそろ新しい動きをしたくてウズウズしてるみたいよ。
はじめ君 :乗っている時の社長の勢いはすごいですからね・・・。
りさ子先輩:まったく。先週も「今度はスペインのバルもいいな~」なんて言いながら、羽田に向かって行ったし・・・。もしからしたら、東京以外の場所にも進出するって言い出すかもしれないわよ。
はじめ君 :そうですよね。震災後は被災した取引先の支援も熱心にしていたから、もしかしたら仙台とか東北への進出もあるかも知れないですね。
りさ子先輩:北関東支店の取引先も、最近はお客様が戻って来たみたいで、明るい声になって来たって、北関東支店の田中さんも言ってたし。
はじめ君 :先輩は結婚しても田中さん(伊藤英明似)のファンなんですか?
りさ子先輩:別にファンって訳じゃないわよ!でも、田中さん、まだまだ被災地の支援は必要だって言っていたわ。
はじめ君 :法人税で復興特別税を払うので、少しはお金が届くといいですね。そう言えば、法人税だけじゃないって、さっき先輩が言っていたのはどういうことですか?
りさ子先輩:復興特別税は、被災地の復興のために、全国民で少しずつ負担を分かち合って支援しよう、というのが目的よね。ということは、法人税だけでなく所得税にも課税されることになっているの。
はじめ君 :えー!ってことは、給与の手取りが減るってことですか?
りさ子先輩:そういうこと。でも、はじめくん、私達経理マンは給与の心配だけでなく、給与以外の源泉所得税の心配もしなくてはいけないってこと、気づいてる?
はじめ君 :源泉所得税ですか?預金利息とか、講師料なんかから天引する?
りさ子先輩:そう。社長が開くワインセミナーなんかも、来年の1月以降に開催するものについては、復興特別所得税分も一緒に控除する必要がある訳。
はじめ君 :どう計算するようになるのかな。今は10%だから割と計算しやすかったけど。
りさ子先輩:そうね。復興特別源泉所得税の税率は、源泉所得税率×2.1%となるの。それを今までの源泉所得税と一緒に徴収するようになるのね。
はじめ君 :社長は講師の先生と「10万円で」とか、手取り額で約束することが多いから、今までのグロスアップ計算だと、こうやってました。
100,000円÷(100%-10%)=111,111円(円未満切捨)→講師料総額
111,111×10% =11,111円(円未満切捨)→源泉所得税額
111,111-11,111=100,000円(手取額)
りさ子先輩:そうね。それが、来年1月以降はこうなるの。
100,000円÷(100%-10.21%)=111,370円(円未満切捨)→講師料総額
111,370円×10.21%=11,370円(円未満切捨)→源泉所得税額
111,370-11,370円=100,000円(手取額)
はじめ君 :うわ!めんどくさくなるなぁ。
りさ子先輩:なんのなんの。これはまだまだ序の口よ。経理担当者は預金利息の源泉所得税の処理も必要なのよ!
はじめ君 :それはどうなるんですか?
※次は預金利息の源泉所得税について!
復興特別法人税については、国税庁のHPも参考にしてください。